かあちゃんの夏みかんの木

まだかあちゃんが元気だった頃、わたしの子供もまだ小さかった。ある日かあちゃんが、数本のみかんの苗木を持ってきました。

自分が食べた夏みかんの種を植えたら芽が出たので20センチくらいまで大きくしてもってきたと言っていました。

ああまたかと思いつつ、窓の下に植えておきました。それからおよそ5年位過ぎた頃、かあちゃんは83歳で天寿を全うしました。

子供が高校の入学式が終わった3日後でした。夏みかんの木はかなり大きくなっていました。見通しのよかった窓がすっかり暗くなりました。

8年位経った時、夏みかんの木に白い小さな花が咲きました。するどい大きなとげがありました。詳しい人に聞いたら、それは実生といって、橘にもどったんだよと教えてくれました。

いまでは屋根を超えるほど大きくなり、毎年沢山の美味しい実をつけてくれます。夏みかんが実るたびに、かあちゃんを思い出します。